金融庁が公表する、投資信託の販売会社による”顧客本位の業務運営”モニタリング結果

金融資産運用設計

2021年6月30日、金融庁が、「投資信託等の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果」を公開した。

金融庁は2017年3月に「顧客本位の業務運営に関する原則」を策定・公表している。

これについて、主要な販売会社(主要行等10行、地域銀行27行及び証券会社12社)に対し、顧客本位の業務運営に関する経営戦略上の位置付けや、顧客の資産形成と持続的な業務を両立させるための中長期的なビジネスモデルのあり方などに関して、モニタリングや対話を実施している。

今回公表したのは、こうしたモニタリング等を通じて把握した事実や示唆される内容、課題などについての分析をとりまとめたもの。

ここでは概要版から、いくつかの項目をピックアップする。

・「リスク性金融商品販売の状況」:積立については積立投資信託の保有顧客数及び積立投資信託の販売額とも増加傾向であり、投信販売全体の1〜3割を占めるまでになっている。

・「顧客側の意識・行動」:投資経験者は、10年以上の長期的な資産運用をイメージしているものの、実際の運用では、保有商品に含み益が発生すると、短期的に売却してしまう傾向がある可能性がある。

・「販売側の体制について」:提案プロセスをみると、提案ツールの導入は進んでいる一方で、そのツールを利用し、ライフプランに基づいた顧客への最適なポートフォリオの分析と、それに基づく長期分散投資の提案が十分に営業現場に浸透しているとはいえない状況。

また取扱商品の選定プロセスにおいても、ネガティブチェックや他の金融機関との比較(売れ筋を確認)をおこなうにとどまることも多い。

・「今後、重要となる課題」:長期分散提案プロセスの改善へ向け、「重要情報シート」等を活用した適切かつ丁寧な顧客説明が必要。

さらにライフプランに基づいた顧客への最適なポートフォリオの分析とそれに基づく長期分散投資の提案について営業現場(インターネットを通じた販売も含む)における浸透が課題。

投資信託の販売状況をみると、積立投資の増加がみられるようだ。

しかし長期的な保有を想定しても、利益が出ると売却してしまう人が多いことが示唆されている。

販売側においてはライフプランに基づいた、長期的分散投資のためのポートフォリオ提案などが、十分にできていない状況が課題となっている。

資産形成における、販売側・顧客側の課題解決による、状況の改善が期待される。

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