FP業務において、”顧客本位の業務運営”(フィデューシャリー・デューティー)という言葉を聞くことが多くなった。
顧客に対し、利益を最大限にすることを目標に、利益に反する行為を行ってはならないといった義務を意味する。
具体的には何を意味するのか。
金融庁が発表した、投資信託における3つの指標を見ていく。
投資信託が”顧客本位の業務運営”をしているか分かる3つの指標
金融庁では、平成30年6月に、「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」として、3つの指標を公表している。
KPI(key performance indicator)は、最終的な目標を達成するため、その過程で計測・評価する中間指標のこと。
(1)運用損益別顧客比率
(2)投資信託預り残高上位20銘柄のコスト・リターン
(3)投資信託預り残高上位20銘柄のリスク・リターン
この3つだ。
”運用損益別顧客比率”は、投資信託を保有する顧客のうち、何割の顧客が利益を出し、何割が損を出しているかを計算したものだ。
金融庁が2018年11月7日に公表した資料では、損益が0以上になった顧客が9割以上を占める会社がある一方で、3割台になっている会社もあることが分かっている。
”投資信託預り残高上位20銘柄のコスト・リターン/リスク・リターン”は、投資信託を販売する会社が、コストやリスクに見合ったリターンを提供できているか見るための指標だ。
同じ資料では、リスク・リターンをみると、リスクの上昇に伴いリターンも上昇する傾向がみられる。
コスト(費用)・リターンについては、コストが高いほどリターンが低くなるという傾向がみられた。高い費用を支払っても、それがリターンにつながらないことを意味する。
このように、投資信託においては、(1)利益が出ている顧客の割合が高いこと、(2)リスクが高い商品はリターンも高くなること、(3)コストが高い商品はリターンも高くなることで、フィデューシャリー・デューティーを実現していることになる。
投資信託販売会社を選ぶときの参考に
投資信託販売会社を選ぶとき、何を参考にすべきか。
今回紹介した、3つの指標は客観的なデータとして使いやすそうだ。公表している企業があれば、チェックしたい。
金融庁の資料では、結論として「直販を行っている独立系の運用会社は、積立投資を行っている顧客割合が高く、運用効率の良い商品を積立形式で提供することにより、より多くの顧客にリターンを提供していることが窺われる。」と述べている。