2022年3月24日、長野県の塩尻市役所が、ナッジ理論の活用で住民税の申告が1割増になったことを発表した。
ナッジ理論は、平成29年にノーベル経済学賞を受賞した、シカゴ大学のリチャード・セイラー教授が提唱した概念。
ナッジ(nudge)とは「注意や合図のために肘(ひじ)で人を軽くつつく」こと。
行動経済学の知見を使って、肘で軽くつつくように、それとなく望ましい行動を選択するように促すことを指している。
長野県塩尻市では、ナッジ理論を業務に取り入れ、住民税申告書に同封するチラシを改善したところ、期限内申告者が増加したという。
具体的に実施したことは、次のとおり。
(1)現状分析 住民税申告書の発送後、どんな問い合わせが多いかを課内でリストアップ。同封の手引きに書いてあることの問い合わせが多い=手引きが読まれていない。統計的に期限内申告率も低く、申告書の提出方法も分かりにくいとの声もあった。
(2)課題設定 申告しないことの影響について庁内各課へ情報収集したところ、所得がない人が申告しないと多数の不利益があることが判明。その他、現状分析のとおり課題が多い状態。
(3)目標設定 期限内申告者数を増やす。
(4)デザイン 住民税申告書に同封するチラシのレイアウト等を改善
作られたチラシを見ると、所得が無い場合に住民税の申告をしないと、国民健康保険税などが高くなると書いてある。
また申告書への記入についても、簡単に説明してあるのが分かる。
お金に関して、望ましい行動があったとしても、それを実行するにはちょっとしたきっかけが必要だ。
塩尻市役所の例では、チラシの情報を伝わりやすくすることで、行動に移す人が増えた。
ファイナンシャルプランニングにおける、実行支援においても、参考になるポイントかもしれない。
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